メモリの増設

ここでいうメモリはメインメモリ(主記憶装置)です。メモリには他に補助記憶装置(外部記憶装置)があり、これに分類されるのはフロッピーディスクやハードディスクです。

コンピュータの原理上、CPU(中央処理装置)はメインメモリ上にあるプログラムを実行し、メインメモリ上にあるデータを読み書きします。メインメモリ上にないプログラムやデータは補助記憶装置からメインメモリ上に読み出しておく必要があります。CPUが直接補助記憶装置にアクセスすることはありません。
また、メインメモリは半導体メモリなので読み出し書き込みが高速で、ナノセコンド(ns:10-9秒)オーダーで動作します。それに対して例えばハードディスクではマイクロセコンド(μs:10-6秒)オーダーでデータ転送しますが、ヘッドを機械的に動かすため目的の場所にヘッドが移動するまでミリセコンド(ms:10-3秒)オーダーの時間を要します。単純にいっても速度に最低千倍以上の違いがあります。

つまりメインメモリの容量が小さくてCPUが必要とするプログラムやデータがメインメモリ上にないことが多いと、遅いハードディスクにアクセスする必要が頻繁に生じるためPCの動作が遅くなってしまうのです。

メインメモリの容量を大きくすればハードディスクにアクセスする頻度が減りPCの動作が速くなります。いくつものウィンドウを開いて、頻繁にウィンドウを切り替えて作業するような場合はメモリ増設の効果が現れます。また、大きな画像データを扱うような場合もメモリ増設は有効です。

現在主流のメモリには以下のようなものがあります。
SDRAM:Synchronous Dynamic Random Access Memory
DIMM:Dual Inline Memory Module
S.O.DIMM:Small Outline Dual Inline Memory Module
DDR:Double Data Rate
これらの意味するところはいずれ別の機会でお話ししましょう。
一番上の小さなものがノートPC用のメモリモジュールで、下の二つがデスクトップ・タワーPC用のメモリモジュールです。
写真にはありませんがノートPC用にもDDRタイプのものがあります。
主流ではないという意味ではずしましたが、これら以外にSIMMやRIMMといわれるものもあります。

メモリ購入時(前)の注意

システムの空きメモリスロット数はいくつか
空きスロットがない場合は実装中のメモリモジュールを取り外して、それよりも大きな容量のメモリを装着しなければ”増設”になりません。
面倒でも購入する前にPCのケースを開けて空きスロットを確認してください。
使用しているシステムのメモリがSDRAMなのかDDR SDRAMか
写真でわかるように両者は端子のところの切り欠きの位置が違い、互換性はありません。
使用しているシステムのクロックはいくらか
システムクロックの違いによりSDRAMではPC100(システムクロック100MHz)、PC133(同133MHz)があります。
同じようにDDR SDRAMにもDDR200(システムクロック100MHz)、DDR266(同133MHz)、DDR333(同166MHz)、DDR400(同200MHz)があります。
また、これらのメモリにはサーバーで使用するような高信頼性用途としてECC対応やRegisteredタイプなどがありますが、”普通の”PCではこれらを使うことはありません。
自信のある人以外は保証のあるメモリを
秋葉原や通販では安い”バルクメモリ”というものが入手できます。これには動作に対する保証がありません。このPCでは動かないが別のPCでは動くというような場合は返品や交換をしてもらえません。PCメーカや大手周辺機器メーカのメモリモジュールでは機種を指定した動作保証があるので安心です。バルクメモリに比べて価格は高いのですが、安定動作が最重要です。
メルコ
アイ・オー・データ機器
グリーンハウス
プリンストンテクノロジー
アドテック
とにかくシステムの取扱説明書をよく読んで適合するメモリモジュールを購入してください。

メモリ装着時の注意

メモリは半導体で人体に発生する静電気により壊れることがありますので、メモリを扱う前に静電気を逃がしてください。

腐食や接触不良の原因になりますので端子部は触らないでください。

システムによっては使用するスロットの順番に指定があるので確認してください。

メモリスロットとメモリモジュールの切り欠き位置を合わせて装着してください。

装着には案外力を入れる必要がありますが、入れすぎるとスロットやモジュールを破損するおそれがありますので慎重に。

スロット両端のラッチレバーがモジュール両端のノッチにしっかりと噛み込んでいることを確認します。