自分に合ったADSL環境の選択

ADSLを利用するときにまず気にかかるのは料金です。プロバイダやADSL事業者の選択により料金も違ってきますが、提供される機能にも違いがあります。どんな使い方をするかよく考える必要があります。

1.料金

ADSL回線の提供を行っている事業者の代表的なところ(関東地方)をリストアップしてみます。
インターネットに接続するためには、これらとプロバイダとの関係を把握しておく必要がありますので、下表と下図を参考にして下さい。
ADSL事業者 サービス名称 供 用 形 態 備     考
NTT東・西 フレッツ・ADSL @ 回線提供のみ 別途フレッツ・ADSLに対応したプロバイダと契約する
アッカ・ネットワークス    A 提携プロバイダを経由した回線提供 これに対応したプロバイダを介した契約で、プロバイダとのみ契約すればよい
イー・アクセス   A 提携プロバイダを経由した回線提供 これに対応したプロバイダを介した契約で、プロバイダとのみ契約すればよい
トーカイ・ブロードバンド
・コミュニケーションズ
(T-com)
  A 提携プロバイダを経由した回線提供 これに対応したプロバイダを介した契約で、プロバイダとのみ契約すればよい
B プロバイダを兼ねた回線提供 プロバイダの新規契約・乗り換えになる
Yahoo!JAPAN Yahoo!BB B プロバイダを兼ねた回線提供 プロバイダの新規契約・乗り換えになる
平成電電 電光石火 B 最初の1年間はプロバイダ契約なし
   で接続可能
@ 2年目以降は別途プロバイダと契約
2年目以降は別途電光石火に対応した無料プロバイダ(FREECOM)と契約するため、プロバイダの新規契約・乗り換えになる
申し込みと料金の支払い

以上を踏まえてランニングコストの比較を行ってみます。
前提はADSL回線として電話共用タイプ(タイプ1)を使用し、電話回線の基本料金や通話料金、初期費用は除外するものとします。
また、少数ですがプロバイダ別の料金比較を行いますが、比較する料金はキャンペーン料金ではなく通常料金とします。
各社とも強烈なキャンペーン料金合戦を繰り広げていますので、利用期間等を考慮して判断してください。

以下の表における機器レンタル料にはADSLモデムとスプリッタが含まれます。1.5Mサービスではレンタルはほとんど利用できず、売り切りが主となっていますが、これは業者には有利ですが利用者には不利といえるでしょう。当該サービスの利用は3年以内で、利用可能な新しいサービスが出ればそれに乗り換えたいという状況ならばレンタルが望ましいのですが、将来性の低い1.5Mサービスではレンタルから戻ってきた機器の再レンタルの望みが薄いため、利用者にリスクを負担させるようになっています。
今後16M超のサービスやIP電話サービスも話題にのぼっていますが、その際モデムの交換が必要になるはずで、現状の8M超サービスでも当面モデムはレンタルのほうが有利のような気がします。
1.5Mサービス
料金は通常料金です。キャンペーン料金ではありません。
フレッツ料金ではマイラインプラスとのセット割引等も勘案していません。
2003年5月現在
ADSL事業者
プロバイダ
NTT(月額) プロバイダ
(月額)
機器
レンタル料
合計
フレッツ料金 回線使用料
フレッツ・ADSL
ASAHIネット
2600円 700円 490円 3790円
アッカ・ネットワークス
ASAHIネット
168円(東) 2800円 × 注1 2968円
イー・アクセス
ASAHIネット
168円(東) 2800円 × 注2 2968円
フレッツ・ADSL
@nifty
2600円 2000円 490円 5090円
アッカ・ネットワークス
@nifty
168円(東) 2980円 × 注3 3148円
イー・アクセス
@nifty
168円(東) 2980円 × 注4 3148円
フレッツ・ADSL
So-net
2600円 1950円 490円 5040円
アッカ・ネットワークス
So-net
168円(東) 2780円 × 注5 2948円
各プロバイダ基本料金は常時接続可能なプラン・コースのうち最低の料金です
注1:モデムは買取(ルータタイプ18000円・USBタイプ14000円)か自己調達
注2:モデムは買取(ルータタイプ19800円)か自己調達
注3:モデムは買取(ルータタイプ18000円)か自己調達
注4:モデムは買取(ルータタイプ19500円)か自己調達
注5:モデムは買取(ルータタイプ19800円・USBタイプ14800円)か自己調達
8M超サービス
料金は通常料金です。キャンペーン料金ではありません。
フレッツ料金ではマイラインプラスとのセット割引等も勘案していません。
2003年5月現在
ADSL事業者
プロバイダ
速度 NTT(月額) プロバイダ(月額) 機器
レンタル料
合計
フレッツ料金 回線使用料 基本料金 オプション料金
フレッツ・ADSL
ASAHIネット
8M 2650円 700円 490円 3840円
12M 2700円 3890円
アッカ・ネットワークス
ASAHIネット
10M 168円(東) 2800円 500円 3468円
12M
イー・アクセス
ASAHIネット
8M 168円(東) 2800円 500円 3468円
12M
T-com
ASAHIネット
12M 168円(東) 2800円 400円 3368円
フレッツ・ADSL
ぷらら
8M 2650円 850円 490円 3990円
12M 2700円 4040円
フレッツ・ADSL
@nifty
8M 2650円 2000円 490円 5140円
12M 2700円 5190円
アッカ・ネットワークス
@nifty
10M 168円(東) 3280円 500円 3948円
12M 3380円 4048円
イー・アクセス
@nifty
8M 168円(東) 3280円 500円 3948円
12M 3380円 4048円
T-com
@nifty
8M 168円(東) 3280円 400円 3848円
12M 3380円 3948円
フレッツ・ADSL
So-net
8M 2650円 1950円 490円 5090円
12M 2700円 5140円
アッカ・ネットワークス
So-net
8M 168円(東) 2880円 500円 3448円
12M 2980円 3548円
Yahoo!BB 8M 168円(東) 1290円 990円 690円 3138円
12M 1190円 890円 3538円
平成電電 10M 168円(東) 年額 20000円 (月額 1667円) 1835円
12M
フレッツ・ADSLは平成14年12月から料金改定となりました。従来はどのプロバイダのどのサービスを選んでも4000円を超えてしまいましたが、上記のように価格競争力がつきました。ASAHIネットのフレッツ・モア(12M)対応最安コースを選べば、他大手プロバイダでアッカ・ネットワークスやイー・アクセスを利用した場合と同等かそれ以下の料金となります。
フレッツサービスの広域化や、ADSLサービスを利用できる人口のカバー率を考慮すると、フレッツ・ADSLの魅力も再認識されるでしょう。また、フレッツ・ADSLが利用できるプロバイダ数は250以上あるようです。
都市部ではいろいろ選択の余地がありますので、上の表を参考にして利用するサービスを選択してください。ここでは少数のプロバイダしか比較していませんので、これを目安に他のプロバイダと比較検討してください。

ASAHIネットはパソコン通信時代からの老舗ですが、あまりメジャーではないようです。私は7年以上利用していますが、殆どトラブルに遭遇していません。また、上の表からもわかるように特にフレッツ・ADSLでの料金が安いのです。(ダイヤルアップは5時間のみ無料)
電話サポートなどは弱いので初心者以外にはお勧めです。
フレッツ・ADSL以外のADSL事業者を選択した場合は、料金支払いや問合せ窓口が一本化できて便利ですが、回線周りにトラブルが発生した場合、直接NTTと交渉ができないために状況解析や対処に手間取ることもあるようです。

2.機能

個人でインターネットを楽しむ場合はあまり気にする必要がないかもしれませんが、仕事に利用するような場合は以下のような事項も考慮したほうがよいでしょう。
@ダイヤルアップ接続との併用
加入したプロバイダの利用コースで、ダイヤルアップ接続も可能かどうか、さらに、ADSL接続中に外出先でダイヤルアップ接続が同時並行的に可能かどうか。
仕事や旅行で外出したときに出先でも最低限メールの送受信は行いたいものです。加入したADSL利用コースによってはダイヤルアップ接続を提供しない場合やダイヤルアップ接続時間分はすべて別途課金されたり、一定時間を超えるダイヤルアップ接続時間分は別途課金される場合もあります。
また、プロバイダによってはダイヤルアップのアクセスポイントが少ないところもあります。出張の多い人にとってはアクセスポイントの多寡も選択のポイントになるでしょう。
自分の利用形態をよく考えて加入してください。

ADSL接続中に外出先での同時並行的なダイヤルアップ接続を認めないプロバイダもあります。外出時はADSL接続を切り、外出先でダイヤルアップ接続しろとのことです。本当にできないかどうかは試していませんが、仮にできたとしても契約に違反した使用方法では使う側も困ります。一方では「もちろん可能です!」と気持ちよく提供してくれているプロバイダもあるので、ケチな制限は止めてほしいものです。ブロードバンドルータの使用が増えている昨今、PCの電源は消してもブロードバンドルータの電源は入れたままが多いのではないかと思うのですが。
もっとも、同時並行的なダイヤルアップ接続を認めているプロバイダでも、契約者本人が使うという制限はあります。個人契約のIDを社員の間で共有というのは問題ありです。
このあたりのことは説明をよく読んでも分らないことが多いので、直接サポートに電話・メールで確認してください
Aフレッツ・○○○○
NTT東西のフレッツシリーズにはフレッツシリーズに特有のサービスが存在します。フレッツシリーズはNTT東西の地域IP網を基盤にしているので以下のようなサービスがオプションで利用できます。
・フレッツ・オフィス(NTT東西)
企業のネットワークを地域IP網に直接接続し、フレッツ・ADSLやフレッツ・ISDN、Bフレッツに加入しているクライアント(アクセスサービス)が地域IP網を経由して企業のネットワークに接続できるVPN(Virtual Private Network:仮想専用網)です。インターネットを通らないため情報の漏洩や侵入の心配がありません。
地域IP網は同一県内を単位として構築されているため、県をまたがるアクセスサービスからの接続ができませんでしたが、ようやくこの規制もなくなろうとしています。平成15年度中にはこのばかげた規制はなくなります。
またクライアント(アクセスサービス)はインターネットへのアクセスとフレッツ・オフィスへのアクセスを切替えて利用することができます。
・フレッツ・グループアクセス(NTT東)
フレッツ・ADSLやフレッツ・ISDN、Bフレッツ利用者間でグループを構成し、VPN(Virtual Private Network:仮想専用網)を利用することができます。
加入者はインターネットへのアクセスとフレッツ・グループアクセスへのアクセスを切替えて利用することができます。