PCの買い替えに伴う移行作業 (Windowsのみです) 

長らく使用してきたPCを更新するのはわくわくする反面、使用環境の移行作業を考えるとうんざりする気持ちも多々あります。このような移行作業のケーススタディです。
PCの更新といってもまったく新しいPCを購入する場合既存PCのアップグレード(HDD)の場合が考えられます。

1.新規PCの購入に伴うデータの移行

一般のユーザはほとんどがこのケースでしょう。
間違っても、新しいPCが手元にくる前に古いPCを人にあげたり、売り払ったりすることのないようご注意ください。今までの環境もデータもまったくいらない、白紙の状態から始めるという場合は例外ですが・・・
新しいPCがWindows XP搭載機であれば秘策があります。
@インターネット接続環境の再構築
モデムやTAによるダイヤルアップ接続の場合は、古いPCの設定内容を参照してダイヤルアップ接続を設定します。このときアクセスポイントの番号やユーザ名などは古いPCの設定からわかりますが、パスワードはプロバイダから送られてきた書類や入会時に書き止めたものを見てください。途中でパスワードを変更したことがある場合などは最新のものを見つけてください。(なくしている人が意外に多いのです)
Aインターネットブラウザ環境の再構築
以前からInternet Explorer (IE)を使用しており、新規のPCでもIEだというケースで進めます。IEの占有率は96%にもなるそうです。私はNetscapeのながれをくむMozillaを使っていますが・・・
以前のPCではIE5.01だったのでこれを使いたいという人はいないと思います。新しいIE6を使うことになります。ここでいう環境の再構築とは「お気に入り」の再現に限定します。
  *旧PC側での作業
Windows 98などで「お気に入り」が保存されているフォルダは C:\WINDOWS\Favorites です。
このフォルダの内容をフロッピーディスクに保存します。
WINDOWSフォルダを開けようとする時、警告が表示されるかもしれませんが強行してください。
  *新PC側での作業
新しいPCがWindows 9x(Me含む)ならば、旧PCと同じフォルダ(C:\WINDOWS\Favorites)に、旧PCで保存したフロッピーディスクからファイルをコピーしてください。
Windows 2000やXPではマルチユーザが前提ですので、「お気に入り」が保存されるフォルダはWindows 98の場合と異なります。
保存フォルダは C:\Documents and Settings\ユーザ名\Favorites です。
旧PCで保存したフロッピーディスクからここへファイルをコピーしてください。
コピーが終了したらIEを起動して「お気に入り」の内容を確認します。
ここではフロッピーを使うとしましたが、最近のPCにはフロッピーレスのものも増えてきました。外付けのHDDやMO、CD-Rがあればそれを使います。
また、最近のPCにはほぼ例外なくLANポートが標準装備されていますが、旧PCもLAN対応ならLAN経由で転送するのが手軽です。
「ケーブル接続」という方法もあります。シリアルケーブルを使ってPCのCOMポート同士を接続してファイルを転送します。
最も汎用性が高くかつ安価なのはLANを利用する方法でしょう。次項のメール環境の移行ではフロッピーは用を為さないでしょう。
Bインターネットメール環境の再構築
移行作業を行う前に新しいPCにメールアカウントの設定を行いメールの受信を行わないでください。以下の方法で移行を行った場合は、受信した新しいメールは旧PCのメールデータで置換されてしまいます。メールの受信はデータ移行後に行ってください。

メールソフトはOutlook Express(OE)を前提とします。これのユーザもまた多いのですが、バグやセキュリティホールなど問題山積です。私はシェアウェアの Becky! Internet Mail ver.2を使っています。PCを更新する機会にメールソフトもOE以外に乗り換えるのも一考かと思います。
ここではOEからOEへの移行を行います。移行の対象はメールアドレス帳です。
OEでは個々のメールが別ファイルになっているわけではなく、「受信トレイ」や「送信トレイ」などのフォルダ単位でファイルになっています。やり取りしたメールがこれらフォルダに入っていれば、一つのファイルでフロッピー一枚の容量を越しているものと思います。ここではLANを使うか外付けのHDDやMO、CD-Rを利用する必要があるでしょう。
アドレス帳の保存にはフロッピーで十分かもしれません。
  *旧PC側での作業 :Windows 9x(Me含む)
   ・メール
まずメール保存場所を確認します。
OEを起動し、「ツール」→「オプション」を選択、次に「メンテナンス」タブをクリックして保存フォルダボタンをクリックします。
保存場所が
 C:\WINDOWS\Application Data\Identities\{CEB85D40-・・・・}\Microsoft\Outlook Express
のように表示されます。(右端までしっかり確認)
下線部分はそれぞれのPCのそれぞれのユーザで違いますが、ここをよく確認し、OEを終了してください。
次にメールデータのコピーです。
マイコンピュータやエクスプローラから確認したパスをたどり、Outlook Expressフォルダを開いて
 受信トレイ.dbx 送信トレイ.dbx 
 送信済みアイテム.dbx 削除済みアイテム.dbx
等のファイルがあることを確認します。自分でフォルダを作っている場合は、それらも含めてすべてのファイルをMO等にコピーします。
LANを使って転送する場合はこのフォルダを共有してください。
   ・アドレス帳
アドレス帳も忘れてはいけません。
OEを起動し、「ツール」→「アドレス帳」を選択、次にアドレス帳のメニューバーから「ファイル」→「エクスポート」→「アドレス帳(WAB)」を選択します。
保存場所にフロッピー・MO等を指定してファイル名を指定します。ファイルの種類はアドレス帳ファイル(*.wab)となっていることを確認し、適当な名前を付けて保存ボタンをクリックします。
  *新PC側での作業
   ・メール
まずOEを起動し旧PCと同様、メール保存場所を確認します。
新しいPCがWindows 9x(Me含む)なら、下線部分が違うだけで旧PCと同じような保存場所です。
Windows 2000やXPではマルチユーザが前提ですので、メールが保存されるフォルダはWindows 98の場合と異なります。
保存フォルダは
 C:\Documents and Settings\ユーザ名\Local Settings\
   Application Data\Identities\{D8FCF63F-・・・・}\Microsoft\Outlook Express
のようになります。(下線部分はそれぞれで異なります)
旧PCでMO等にコピーした内容をこのフォルダにコピーします。
LANを使って転送する場合は旧PCの格納フォルダからここへ転送します。
OEを起動して以前のメールがあるか確認してください。
   ・アドレス帳
アドレス帳も移行します。
OEを起動し、「ツール」→「アドレス帳」を選択、次にアドレス帳のメニューバーから「ファイル」→「インスポート」→「アドレス帳(WAB)」を選択します。
保存したフロッピー・MO等を指定して、保存したファイル名を選び開くボタンをクリックします。
アドレス帳に連絡先が追加されたことを確信してください。
C秘策
新PCがWindows XP搭載機ではWindows XPの機能で旧PCのファイルや設定を移すことが可能です。フロッピーやMOを利用することもできますが、新旧両PCがLANでネットワーク接続されている場合には大変手軽に行えます。(Windows XPの「ファイルと設定の転送ウィザード」を参照してください)
ただし、アプリケーションの移行は除外です。
Dアプリケーションのインストールとデータのコピー
今まで使用していたアプリケーションソフトを改めてインストールし直します。当然ですがこれらソフトのインストールディスクとシリアル番号等のインストールキーが必要になります。またこれらアプリケーションに途中で適用したパッチ等も必要になります。
ここでは旧PCで使用していたアプリケーションは完全に新PCに移行し、旧PCでは使用しない(アンインストールする)事を前提とします。また、ライセンスの内容によっては別なPCにインストールすることが不可能な場合も多いのでご注意ください。(プリインストール版の場合)

プログラム本体のインストールが済んだら、所定のフォルダに以前作成したデータファイルをコピーします。データのコピーは旧PCのHDD自体を新しいPCに接続してコピーしてもよいし、LAN構成されていればネットワーク経由で転送することも可能です。もちろんMOやCD-R渡しという方法も可能です。

2.既存PCのアップグレード(大容量HDDへの交換)

既存PCのアップグレードといってもCPUやメモリのアップグレードは単にこれらを交換するだけで済みますが、問題はHDD(ハードディスク)の交換の場合です。HDDを増設するのは特に問題になりませんが、システムが入っているHDDを大容量のHDDに交換するような場合は要注意です。
基本的には

  HDDを交換
     ↓
  OSをインストール
     ↓
  アップリケ-ションをインストール
     ↓
  データをコピー

となり、かなりの手間が掛かります。
システムが不安定だなどという場合は、このような手順で新規インストールする価値はあるでしょうが、そうでない場合は難行苦行以外の何ものでもありません。この時ソフトウェアツールを使用すれば、今までの環境をシステム・データ丸ごと新しいHDDに移すことが可能で、もちろん新しいHDDから起動できます。
メルコなどの内蔵HDDキットを購入すればそのソフトウェアツールも添付されてきますが、HDDをベアドライブとして購入した場合には別途ソフトウェアツールを購入する必要があります。
私が愛用しているソフトウェアツールはネットジャパンのDrive Imageというツールですが、HDDのコピーだけならばDrive Copyというツールでも十分です。Drive Imageはバックアップツールで機能の一部としてDrive Copyの機能があります。余談ですが私はこのツールのおかげで何度もHDDクラッシュによるデータ消失を最小限に抑えてきました。最初のバージョン(Drive Image 1.0)から使っていますが今のバージョン(Drive Image 2002)は6世代目?、強力に推薦できるソフトです。

マザーボード(システム基板)の交換を伴う場合新規PCの購入に相当します。マザーボードの交換はOSが拠り所にするBIOS − ハードウェアが一新されるため、それらの関係を以前のまま引き継ぐことができないのです。このような場合はシステムの安定性を確保するためにも新規PCの手順を踏む必要があります。