Bフレッツ や TEPCOひかり なのに遅い!!

遅い要因はいくらでも考えられます。
PCの問題
 低すぎるPC性能
 PC自体が不安定
 TCP/IP通信パラメータの最適化

宅内通信環境の問題
 無線LAN
 低性能ルータ

インターネット側の問題
 地域IP網の混雑(Bフレッツ時)
 ISPの混雑


1.PCの問題

 @低すぎるPC性能

私が主に使用しているPCと所有しているノートPCを比較しましょう。
Bフレッツ・マンションタイプVDSL方式(100M)環境下での比較です。
もちろん両方とも後述のTCP/IP通信パラメータは最適化してあり、有線LANで接続し、宅内通信環境にも問題ありません。
CPU クロック メモリ OS ブラウザ FLET'S SQUARE
速度
Radish速度
メインPC Athlon XP 2600+ 2.2GHz PC3200 1GB Win XP Pro SP2 Firefox 1.0.6 平均 69Mbps 下り56.28Mbps
上り14.60Mbps
ノートPC Celeron 366MHz PC66 160MB Win XP Pro SP2 Firefox 1.0.6 平均 45.5Mbps 下り48.07Mbps
上り12.62Mbps
このように低スペックのPCでも、適切にチューニングしてあればこの程度の速度は得られますが、これはあくまでもファイル転送速度で、コンテンツを視聴する場合にはビデオ性能が体感速度を左右する大きな要因として挙げられます。
ノートPCは、この計測結果でも、フレッツスクェアにある「ストリーミングコンテンツを快適にご利用いただくために」のサンプル映像のスタンダード品質(1Mbps)でさえカクツキが見られます。ハイビジョン品質(6Mbps)ではスライドショー状態です。もちろん、メインPCの方では、ハイビジョン品質(6Mbps)で問題なく鑑賞できます。
フレッツスクェアではスタンダード品質(1Mbps)のストリーミングコンテンツ視聴に必要なPCのスペックとして、CPU PentiumIII 800MHz以上、メモリ128MB以上、ビデオVRAM16MB以上 としています。

 APC自体が不安定

PCでウィルスやスパイウェアを飼っていませんか。
また、多くの常駐ソフトをインストールしていませんか。
通常の使用で不都合が発生するようなPCでは、高い速度は得られないでしょう。
まずはPCの安定性を回復してください。

 BTCP/IP通信パラメータの最適化

原理の詳細は こちら を参照してください。そこでも触れていますが、ここでは具体的なチューニング方法に絞ってまとめます。

まず、 SpeedGuide.net の SG TCP/IP Analyzer をクリックしてください。


すると、このように現在設定されているTCP/IP通信パラメータの値が表示されます。
MTUDefault Receive Window (RWIN) の値を控えてください。
FTTHの場合、RWIN = (MTU-40) × 46 ×  でRWINの値を出すとよいようです。
MTUの値は、PPPoEの場合1454がデフォルト値ですが、フレッツでは経験的に1448が適しているようです。
あとは、の値を1,2,4,8と変えてRWINの値を算出し、順番にこれを適用して、どの値の時に一番速度が出るかを検証します。


さて、MTU、RWINを設定するツールですが、ここでは対象OSをWindows XPのみとします。

BroadbandReports.com から DrTCP をダウンロードします。
実行形式の DRTCP021.exe を適当なフォルダにダウンロードしてください。
ダウンロードした DRTCP021.exe をダブルクリックして実行します。
(私のPCではこのように設定されています。)


Saveボタンをクリックした後、DrTCPを終了させ、Windowsを再起動させます。

起動後、再度 SpeedGuide.net の SG TCP/IP Analyzer をクリックし、MTU、RWINが指定した値になっているか確認してください。ルータを使用している場合、MTU値が指定した値になっていないことがありますが、この場合はルータのMTU値も同じ値に設定してください。ルータにおける設定は、各ルータのマニュアルを参照してください。

パラメータが指定した値になっていることが確認できたら、いよいよ速度の計測です。
NTTのフレッツを利用されている場合はフレッツスクェアの速度計測サイト、そうでない場合は Radish Network Speed Testing にアクセスして速度を計測してください。
フレッツ使用者でもマルチセッション接続設定をしていない場合はフレッツスクェアにアクセスできません。マルチセッション接続設定を行うか、
 Radish Network Speed Testing にアクセスして速度を計測してください。

速度は何度か計測して書き留めておいてください。

あとは DrTCPでRWIN値を変更、再起動、値の確認、速度計測 の繰り返しです。
RWINの値を n=1,2,4,8 で試して、自分の環境ではどの値の場合が一番速度が得られるか、試行錯誤です。
少々時間と根気が要りますので、腰を据えて取りかかってください。


2.宅内通信環境の問題

 @無線LAN

もし、あなたが無線LANをお使いなら、FTTHの能力をすべて引き出すことはできないでしょう。
無線LAN規格 IEEE802.11bは、論理最大速度11Mbps、実効速度の上限4M〜5Mbpsといわれています。
IEEE802.11gは、論理最大速度54Mbps、実効速度の上限20Mbps、高速化手法を使っても20M〜30Mbpsといわれています。
IEEE802.11aも同じです。
つまり、インターネット側の速度が90Mbpsあったとしても、宅内の無線LANがネックとなって、せいぜい20Mbps程度の速度しか得られないということです。無線LANの利便性と高速性、どちらをとるかは人それぞれです。
この場合でも、FTTHのメディアコンバータやONU、VDSLモデムにPCを直結し、上記手法で最大速度を計測することは可能です。

ところで、現在高速無線LAN規格IEEE802.11nが策定中です。これは有線LAN並の速度を目指しているもので、規格決定前(2005年9月時点)ですが、MIMOという名称で802.11nに準拠を謳った製品が販売されています。
実使用環境でも、最大実効速度30M〜40Mbps得られるようで、802.11a/gより高速なようです。価格も高いので、最終的に規格が決定し、それに準拠した製品が出てからでもよいと思いますが、どうしても無線LANで高速をという向きにはお薦めかもしれません。
 A低性能ルータ
最近のルータなら問題ないでしょうが、少し前(2001、2年頃)のルータでは転送能力(スループット)が低いものがあります。ADSLでは問題なくても、FTTHでは力不足なのです。以前のルータを流用している場合は、スループットを確認してください。
最近のものは、ほとんどがスループット90Mbps程度をクリアしていますので大丈夫だと思いますが、これらについても一度確認した方がよいでしょう。

3.インターネット側(宅外)の問題

以上をクリアしても、宅外の要因で速度が得られない場合もあり得ます。

FTTHの仕組みをご覧下さい。
例えば、マンションなどの集合住宅では、同一棟内最低8世帯以上が加入しないとFTTHが引けません。つまり、原則的には100Mbpsの帯域を8世帯以上で共有するわけです。誰もアクセスしていないタイミングなら帯域を専有できますが、何人かが同時にアクセスしているときは、割り当てられる帯域は狭くなる(遅くなる)わけです。
同じことは戸建て住宅の場合も言えます。NTT東のハイパーファミリータイプでは、1Gbpsを最大32世帯で分岐・共有します。以前のファミリータイプでは100Mbpsを分岐・共有だったので条件はかなりよくなりましたが、ヘビーユーザがたくさんいるファイバに収容されれば、高速も得られにくくなります。

さて、もう少しインターネットに近い方に目を転じてみます。
Bフレッツでは、各プロバイダのバックボーンと接続する前に、地域IP網というNTTに閉じたネットワークが存在します。ここが混んでいる可能性もあります。これは速度計測で把握してください。

地域IP網内の速度は十分あるのに、その先のプロバイダのバックボーンが混んでいる可能性があります。この場合は、いろいろなネットワークに属する速度計測サイトで計測しても、一様に遅い傾向が見られるでしょう。この場合は、プロバイダを乗り換えると速くなる可能性があります。

さらに、地域IP網、加入のプロバイダのバックボーンともに充分な速度があるのに、速度計測サイトが属するネットワーク(プロバイダ)のバックボーンが混んでいて速度が出ない場合もあり得ます。(速度計測の方法にも影響されますが)