ADSL トラブル対処法

何かと話題の多いADSLですが、その特性からくるトラブルとその時の対処法などをまとめてみました。
ADSLの概要は こちらの ADSLとは をご覧下さい。
もともと電話網は通話を目的として構築されてきました。したがって通話に関してのユニバーサルサービス(全国均一サービス)として電話網が確立していますから、将来何か別のサービス(ADSL等)に転用・流用できるようにとの配慮がなかったといって、関係者を責めるのは酷な話です。もっとも、ADSLはFTTH(Fiber To The Home:光ファイバ化)までのつなぎです。また10年も経ったら「ADSLなんていうのもあったな」になるかもしれません。(既存の集合住宅のFTTH化はまた別の話ですが)
加入者線(加入者−収容局)を除いた中継系の伝送路はすでにデジタル化が完了しており、加入者線がデジタル化における「ラストワンマイル」の課題なのです。その決定打がFTTHというわけです。
とはいっても、今ADSLで問題を抱えている人にとってはすぐにでも何とかしたいのが人情です。
しかし、ADSLでは上記のような経緯から
何ともしようがないという状況も多々あるのです。何とかなる問題とならない問題を切り分けて見ましょう。

困った症状

1.遅い

速度と一口に言っても、ADSL回線自体の速度(リンク速度)とアプリケーション(Webブラウザ等)が通信プロトコル(TCP/IP)を使って通信する速度(実効速度:スループット)とがあります。
利用者が速い・遅いと感じるのは後者の実効速度ですが、通信プロトコルのパラメータを適切に設定しても、
実効速度はリンク速度の80%程度しか得られません。逆に言うと、実効速度はリンク速度が低ければ同様に低くなるし、通信プロトコルのパラメータが不適切であればリンク速度が高くても実効速度は低くなってしまうのです。すなわち、リンク速度が低いのかどうかを知るのが第一歩なのです。
リンク速度はADSLモデムの保守モードで確認することができますが、ディップスイッチを操作したりモデムの中をいじったりする機種もあります。使用するADSLモデムにより確認方法はまちまちですので、こちら・モデムごとの確認方法 をご覧ください。また、保守モードでは回線の損失(Attenuation:減衰量)やSN比を知ることができる機種もあります。

例えば、1.5Mbpsサービスの最大リンク速度は1536kbpsですから、このリンク速度が出ていれば1200〜1300kbps程度の実効速度が得られて然るべきです。リンク速度は1536kbpsあるのに実効速度が1200〜1300kbps程度出ていないなら、問題は
PCの設定にあります。最も簡単な対策で済みます。下記の 3.PCにおける通信プロトコルに関する設定の問題 をご覧ください。
リンク速度自体が低い場合、原因はいろいろ考えられ対策は単純でありません。下記の 1.加入者までの回線に関する問題  2.加入者宅内の電話屋内配線の問題  4.その他の問題  をご覧ください。

2.不安定

ADSLモデムのリンク確立を表示するランプ(”LINE LINK”等)は、モデムの電源を入れると最初は点滅していますが、しばらくすると点灯に変わりリンク確立を表示します。安定していれば一度リンクが確立すればずっと点灯したままの状態になります。これがたまに点滅→点灯を繰り返しているようであれば、局側設備(DSLAM)との間のリンクが安定していません。
この原因もいろいろ考えられます。下記の 1.加入者までの回線に関する問題  2.加入者宅内の電話屋内配線の問題  4.その他の問題  をご覧ください。

3.つながらない

リンクが確立しないということです。局からの距離が離れすぎている場合は絶望です。場合によっては宅内の環境が原因になっていることがあります。下記の  2.加入者宅内の電話屋内配線の問題  4.その他の問題  で対策してもリンクが確立しない場合は回線事業者に相談してください。


問題の分類

下図のように分けて考えてみましょう。

1.加入者までの回線に関係する問題

2.加入者宅内の電話屋内配線の問題

3.PCにおける通信プロトコルに関する設定の問題

4.その他の問題